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コラム

人材育成を効率化する方法とマニュアル活用

人材育成は、企業が成長していくうえで欠かせない取り組みです。

一方で、「新人を教える時間が取れない」「教育担当者によって教え方が違う」「何度も同じことを説明している」といった悩みを抱えている企業も少なくありません。

こうした人材育成の負担を減らすには、研修の回数を増やすだけでは十分ではありません。日々の業務そのものを学びの場に変え、必要な情報を必要なときに確認できる環境を整えることが大切です。

そこで役立つのが、業務マニュアルの整備とクラウド化です。

厚生労働省も、業務の標準化を進める方法として業務マニュアルの作成を挙げています。初めて担当する人や経験の浅い人にも分かるように手順を整理し、実際の業務を通じて内容を見直していくことが重要とされています。

人材育成が難しい理由

人材育成がうまく進まない理由の一つが、教育内容の「人への依存」です。
例えば、新入社員が入社すると、先輩社員が付きっきりで仕事を教えるケースがあります。

もちろん、実際の経験を通した指導は重要です。しかし、教える人によって説明する内容や順番が変わると、新しく入った社員が覚えるべき基準も曖昧になってしまいます。

また、教育担当者が忙しい場合、「今日は忙しいから後で教えよう」となり、教育が後回しになることもあります。

この状態が続くと、担当者の負担が大きくなるだけでなく、新人が一人で仕事を進められるようになるまでの時間も長くなりがちです。

独立行政法人中小企業基盤整備機構のJ-Net21でも、OJT(実際の仕事を通して行う教育)を効果的に進めるためには、実施計画や目標、評価方法などを明確にし、マニュアルなどを準備することが重要とされています。

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業務を標準化する

人材育成を効率化するために、まず取り組みたいのが業務の標準化です。
標準化とは、誰が担当しても一定の手順や品質で仕事を進められるように、業務の進め方を整理することです。

特定の社員だけが知っている仕事を、その人の経験や感覚だけに頼って教えるのではなく、会社として共有できる形に変えていきます。

例えば、電話対応、接客、営業活動、見積書の作成、システムへの入力、開店・閉店作業など、日常的に繰り返している業務から整理すると分かりやすくなります

厚生労働省も、担当者によって手順や品質にばらつきがある業務や、特定の人しか担当できない業務を標準化の対象として挙げています。

【関連記事】トヨタ式マニュアルが実践する標準化と改善の考え方

マニュアルを「読む資料」にしない

マニュアルを作れば、人材育成が自動的に効率化するわけではありません。
分厚いマニュアルを作ったものの、社員がほとんど読んでいないという状態では、教育の効率化にはつながりません。

人材育成に活用するマニュアルは、「困ったときにすぐ確認できること」が大切です。
新人が仕事をしていて「この場合はどうするのだろう」と迷ったときに、すぐ答えを探せるようにします。

文章だけで説明するのが難しい作業なら、写真や画像、動画などを組み合わせる方法もあります。特に実務では、文章を最初から最後まで読むよりも、必要な部分だけ確認できるほうが使いやすいケースがあります。

クラウドマニュアルで育成を支える

そこで活用したいのが、クラウド上で管理するマニュアルです。
紙のマニュアルの場合、改訂するたびに印刷や差し替えが必要になります。

一方、クラウド型のマニュアルであれば、業務内容の変更に合わせて情報を更新し、同じ内容を社員間で共有しやすくなります

例えば、新しい業務手順を追加した場合も、社員がアクセスするマニュアルを更新しておけば、最新の手順を確認する場所を一本化できます。

また、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットなどから確認できる仕組みであれば、現場で作業をしながら手順を確認するという使い方もしやすくなります。

重要なのは、クラウド化そのものではありません。「分からないときに、すぐ確認できる」状態を作ることです。これが、日常業務と人材育成をつなげるポイントになります。

OJTとマニュアルを組み合わせる

人材育成では、マニュアルを用意するだけでは十分とはいえません。実際の仕事では、状況に応じた判断やお客様とのやり取りなど、マニュアルを読むだけでは身につきにくいこともあります。

そこで活用したいのが、OJT(実際の仕事を通して行う教育)です。マニュアルで基本的な手順を確認しながら、先輩社員と一緒に実務を経験することで、仕事の流れをより具体的に覚えられます。

例えば、新人が業務を覚える際には、まずマニュアルで基本的な手順を確認します。その後、先輩社員の仕事を見たり、実際に自分で作業したりしながら経験を積んでいきます。

途中で分からないことがあれば、まずマニュアルを確認し、それでも判断できない部分を先輩社員がサポートします。この方法なら、先輩社員が毎回一から説明する必要がなくなり、教育にかかる負担を抑えられます。

マニュアルを「自分で確認するための教材」として活用し、OJTで実際の仕事を経験する。この2つを組み合わせることで、効率的で分かりやすい人材育成につなげられます。

マニュアルを育てる

人材育成に使うマニュアルは、一度作って終わりではありません。実際に新人が使ってみると、「ここが分かりにくい」「このケースの説明がない」といった問題が見えてきます。

その声をもとにマニュアルを改善していくことが大切です。厚生労働省の業務標準化に関する資料でも、マニュアルの手順を確認し、手戻りが起こりそうな箇所やコツが必要な部分を追記しながら更新する方法が示されています。

つまり、マニュアルは完成品ではなく、現場で使いながら育てていくものです。クラウドマニュアルであれば、こうした更新と共有を一つの環境で行いやすくなります。

【関連記事】NASAの失敗と教訓に学ぶ伝わるマニュアルの重要性

成長基準も見えるようにする

人材育成を効率化するなら、「仕事のやり方」だけでなく「どこまでできれば一人前なのか」も明確にしておくとよいでしょう。例えば、新人、中堅、リーダーなど、それぞれの段階で求める知識やスキルを整理します。

厚生労働省の「職業能力評価基準」も、仕事に必要な知識・技術・技能だけでなく、成果につながる職務遂行能力を整理したものです。人材育成や採用、人事評価などへの活用が想定されています。

マニュアルとこうした育成基準を組み合わせれば、「何を覚えるのか」だけでなく、「次に何ができるようになればよいのか」も伝えやすくなります。新人にとっても、自分の成長が見えやすくなります。

人材育成は仕組みで効率化する

人材育成を効率化するために大切なのは、教育担当者の頑張りだけに頼らない仕組みを作ることです。

業務の進め方を整理し、分かりやすいマニュアルにする。そして、OJTと組み合わせながら実際の仕事の中で活用する。さらに、現場から出た疑問や改善点をマニュアルへ反映し、常に内容を更新していく。

この流れができれば、マニュアルは単なる「業務説明書」ではなく、社員が日々の仕事を通して成長するための教育ツールになります。

クラウドマニュアルは、その仕組みを支える選択肢の一つです。

人材育成にかかる時間を減らすことだけを目的にするのではなく、「教える人」と「教わる人」の双方が働きやすくなる環境を作る。その視点からマニュアルを見直すことが、これからの人材育成を効率化する第一歩になるでしょう。

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照輝小林

著者

小林照輝

silulu初代代表取締役として創業期を牽引し、ブランド立ち上げ時のデザイン設計からメインディレクションまでを担当。クリエイティブとマーケティングを融合させた戦略設計を得意とし、現在もISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の情報セキュリティ責任者として組織運営に携わっています。 AI戦略マーケティング会社「株式会社リースエンタープライズ」代表取締役として、SEO・AIO・Webブランディング・システム開発など幅広い領域を手掛けます。

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