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コラム

属人化を解消する「マニュアル整備」の進め方

属人化はなぜ企業にとって大きな課題なのか

「この業務は○○さんしか分からない」「担当者が休むと仕事が止まってしまう」。
多くの企業で当たり前のように見られる光景ですが、これは典型的な属人化の状態です。

属人化とは、業務の進め方や知識、ノウハウが特定の個人に依存している状態を指します。一見すると、その社員が優秀だからこそ成り立っているようにも見えます。しかし企業経営の視点で考えると、実は大きなリスクを抱えている状態でもあります。

近年は人材不足や高齢化により、ベテラン社員の退職や転職が以前より身近な問題となっています。長年培われたノウハウが個人の頭の中だけに蓄積されている場合、その人が会社を離れた瞬間に貴重な知識まで失われてしまいます。

また、担当者ごとに仕事のやり方が異なることで品質にばらつきが生じたり、新人教育に時間がかかったりするケースも少なくありません。

企業が安定して成長していくためには、個人の能力に依存するのではなく、組織として成果を出せる仕組みを構築することが重要です。その中心となるのがマニュアル整備です。

属人化が進む会社には共通点がある

属人化は突然発生するものではありません。日々の業務の積み重ねによって少しずつ進行していきます。例えば、忙しさを理由に業務手順を文書化していない会社があります。

仕事は口頭で引き継がれ、困ったときは経験者に聞くという文化が根付いています。最初は問題なく回っていたとしても、会社の規模が大きくなり社員数が増えてくると状況は変わります。

「あの人に聞かないと分からない」
そんな業務が増えれば増えるほど、組織全体の生産性は低下していきます。

また、ベテラン社員ほど無意識のうちに業務をこなしているため、自分では当たり前と思っている知識を周囲へ共有していないケースもあります。本人に悪気はなくても、結果としてノウハウが個人の中に閉じ込められてしまうのです。

マニュアル整備は業務を書き出すことから始まる

属人化を解消するために最初に取り組むべきことは、現在行われている業務の見える化です。多くの企業が最初から立派なマニュアルを作ろうとして挫折してしまいます。しかし重要なのは完璧な資料を作ることではありません。

まずは誰が、どのような手順で、どのような判断をしながら業務を進めているのかを書き出すことが大切です。実際に担当者へヒアリングを行うと、「そんなことまで書く必要があるのか」と思うような細かな作業が数多く存在します。

しかし新人にとっては、その細かな作業こそが分からないポイントです。ベテランにとって当たり前のことほど、丁寧に言語化する必要があります。

属人化を解消するマニュアルとは、特別なノウハウ集ではありません。誰が見ても同じように業務を進められる状態を作ることが本来の目的なのです。

読まれるマニュアルと読まれないマニュアルの違い

せっかく時間をかけてマニュアルを作っても、現場で活用されなければ意味がありません。

実際、多くの企業では分厚いマニュアルが保管されているだけで、誰も見ていないという状況が発生しています。その原因の一つは、作ること自体が目的になってしまうことです。

現場で活用されるマニュアルは、必要な情報にすぐアクセスできる特徴があります。現場の担当者は業務中に何十ページもの資料を読み返す時間はありません。困ったときにすぐ確認できることが重要です。

また、文章だけではなく、写真や図解を活用することで理解度は大きく向上します。近年では動画マニュアルを導入する企業も増えており、作業手順を視覚的に伝える取り組みが進んでいます。

マニュアルは作って終わりではなく、実際に使われることを前提に設計する必要があります。

マニュアルは定期的な更新が欠かせない

業務内容は常に変化しています。新しいシステムの導入やサービス内容の変更、法改正などによって業務手順も変わっていきます。しかし、一度作成したマニュアルを更新しないまま放置している企業は少なくありません。

古い情報が掲載されたマニュアルは、かえって業務ミスの原因になります。そのため、定期的な見直しの仕組みをあらかじめ決めておくことが重要です。

現場から改善提案を集めたり、新人がつまずいた箇所を追記したりすることで、マニュアルはより実践的な内容へ成長していきます。

優れたマニュアルは完成品ではなく、継続的に改善される運用ツールなのです。

属人化を解消することは企業の未来を守ること

属人化は短期的には問題が見えにくい課題です。しかし担当者の退職や休職、新規事業の拡大など、会社が変化するタイミングで大きな影響を及ぼします。

反対に、業務が標準化されている企業は人材育成がしやすく、新しい社員も早く戦力化できます。担当者が変わっても品質を維持できるため、組織として安定した成長が可能になります。

マニュアル整備は単なる資料作成ではありません。会社の知識や経験を組織の資産として残し、未来へ引き継ぐための重要な取り組みです。

これからの時代、企業の競争力は優秀な個人を抱えることではなく、誰でも一定の成果を出せる仕組みを構築できるかどうかにかかっています。属人化の解消は、その第一歩となるでしょう。

照輝小林

著者

小林照輝

silulu初代代表取締役として創業期を牽引し、ブランド立ち上げ時のデザイン設計からメインディレクションまでを担当。クリエイティブとマーケティングを融合させた戦略設計を得意とし、現在もISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)の情報セキュリティ責任者として組織運営に携わっています。 AI戦略マーケティング会社「株式会社リースエンタープライズ」代表取締役として、SEO・AIO・Webブランディング・システム開発など幅広い領域を手掛けます。

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